俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
確か絆創膏が・・・
「あの、これ使ってください」
そう言って、くまキャラクターの絆創膏を渡した。
「・・・可愛いね。ありがとう」

優しく耳に響く声。
焦っている時に、人に怪我までさせて、余裕が無かった私は、その時、ようやくその人の顔を見た。

見上げたその人は・・・
爽やかで、国宝級イケメンと言われる俳優陣に負けず劣らずの顔立ち。
自分の顔が、赤くなるのが分かるほど、ドキッとした。

その人は、絆創膏を手にして、優しく微笑む。
見惚れてしまい、急いでいるのを忘れてしまうほど、目を奪われた。

「優しい君が、面接を受ける会社が羨ましいよ」
吸い込まれそうな瞳と甘い言葉に、寒かったはずの体が、恥ずかしくて一気に熱くなる。

「で、では、これで失礼します」
「面接、頑張ってね」
「は、はいっ!」

甘いマスクで微笑むその男性に頭を下げて、慌てて立ち去った。
あんなに素敵な人、街なかに歩いてるんだ・・・
知り合いだったら、毎日ドキドキする。

そんなことを考えて、ふと見上げると・・・
あった!ここだっ!
お目当てのビルは目の前にあって、急いで中に入った。

さっきの人、また会えたらいいのになぁ…
通勤の時に見かけるだけでも、出勤が楽しいのに。
つい、淡い希望が頭に浮かんだ。

はっ!浮かれてる場合じゃ無い。
まずは面接に受からないと!
スーツを整え、急いで面接会場へと向かった。
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