俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
金曜日になり、朝から浮かれ気分で仕事をしていた。
午後からは一緒に出掛けて、副社長と食事に行ける・・・

午後になって、外線が入った。
「副社長、今日お約束していた担当の方からお電話です」
今日は山下機器工業の下請会社の担当と会う予定だった。

「いえ、構いませんよ・・・ではその話はまた今度ということで」
それだけ話をすると、電話を切った。

「青野さん、午後からの約束は、無くなったから」
「は、はい。では、お昼からこの資料仕上げます」

はぁ・・・午後から副社長を、独占出来ると思っていたのに・・・
仕方ない。定時まで頑張れば・・・
がっかりしながらパソコンを開けて、資料作成をしていた。

「残念そうな顔だね・・・そんなに俺と一緒に出掛けたかった?」
後ろから耳元で囁かれ、ドキッとした。

「あっ、いえ、そうじゃなくて・・・」
「そうじゃなくて?」
「何でも・・・無いです」
「そっかぁ・・・俺は凄く残念だけどな」
「えっ」
私が振り向くと直ぐ近くに顔があった。

見つめられる目を直視出来なくて、慌ててまたパソコンの方を向いた。
勢いついて、キスしそうな距離だった・・・
鼓動が跳ね上がり、ドキドキする・・・顔も体も火照ってきた。

「実は別の所に行く予定もあったから、出掛けるよ。準備して」
副社長は何事も無かったように、出掛ける準備をし始めた。
「は、はい!」

浮かれる気持ちを表に出さないように、慌ててパソコンを閉じて、出掛ける準備をした。

最近、更に優しく甘い言葉の副社長。
この間の皐さんの事があってから、何度も諦めようとした。
でも、副社長の優しさに触れると、その度にドキドキして、好きが膨れ上がる。

副社長への好きな気持ちを無くすなんて、やっぱり無理だ・・・
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