俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
車で向かう先は、国内トップクラスの総合病院。
手土産を買うために、走っている途中でお店に立ち寄った。
「あっ、車に忘れ物したから、少しここで待ってて」

副社長がパーキングに戻り、1人佇んで辺りを見渡した。
無機質に立ち並ぶビル。
太陽の光が反射するビルの中には、仕事をしている人達が沢山いるんだなぁ・・・

沢山の会社があって、働く人達がそこにいる。
その中で、私は、奇跡的に副社長と知り合った。
それだけでも、凄く幸せ。
見た目だけで無く、大人の包容力、優しくて、内面がカッコ良くて、頼りがいがある。

叶わぬ恋。それでもいい。
傍で仕事が出来るだけでも。

そんな事を考えて待っていると、
「道に迷ったなら、私が案内しますよ」
スーツを着た男性が、声を掛けてきた。

「あっ、いえ、大丈夫です」
「そうですか・・・あの、僕、外回りしてて休憩するので、ご一緒にあそこのカフェで休憩しませんか?」
「いえ、人を待ってますから」
どうしよう・・・まだかなぁ、副社長・・・

「俺の彼女に何か用ですか?」
私の前に立ちはだかったのは、副社長だった。
「あっ、いや別に」
その人は慌てて、その場を去って行った。

「一緒に出かける時は、俺から離せないな・・・」
遠くを見ながらの独り言が、彼氏に言われてる言葉のように聞こえて、胸がバクバクしている。

「大丈夫か?」
「は、はい・・・」
「油断するなよ。君は純粋さが滲み出てるから、男性からすると声を掛けやすい。ほんと、心配だよ」

ただ、心配してくれてるだけ・・・
きっとそうでも・・・
好きがいっぱいで、今は顔を上げれない。
きっと・・・真っ赤になっているから。
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