俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
着いた所は、最先端医療では国内トップクラスの総合病院『白波総合病院』。
病院長とF&Dとの交渉の件で、挨拶に行く約束をしたと車の中で教えて貰った。

「この約束が無くても、何かの口実で昼から外出するつもりだったから」
私はがっかりしてたのを見透かされてたかと思うと、恥ずかしくて顔が熱くなってきた。

ただ、外に出掛けたいだけと思われたかな・・・
副社長と一緒に出かけたいからなんですけど・・・
副社長は私の想いなんて、気付かないよね。
ただ、年の離れた秘書を可愛そうに思っただけだから。

病院長室に案内されて、どっしりと風格ある病院長と挨拶を済ませた。

「F&Dとの交渉は上手くいきそうかね?」
「プレゼンの約束が1番手で取り付けるように、全力を尽くしています」
「頼んだよ。あの機器があれば、的確な判断、治療のレベルが格段に上がる。日本医療が変わるからね。」

あのプロジェクトに、会社一丸となって動いてるのがよく分かる。
晴海商事だけじゃなく、与える影響は大きい。

「はい、いい結果がお伝え出来るように今、社員一丸となっておりますので」
「晴海さんは若いのに頼もしいね。そして更に若い秘書の方だね」
「えぇ、若いですが、私には無くてはならない存在です」

急に私の話になって、戸惑う。
「晴海さんがそこまで言うなら優秀なんだね。うちの事務局に来て欲しいくらいだ」
「私の大切な秘書ですから、手放しませんよ」

副社長が返事をするのを聞いて、ただ、私を立ててくれているんだと思うけど・・・

恋愛慣れしてない私は、勘違いしてしまいますよ、副社長・・・

関係者と話をしたり、病院を案内されたりと時間が過ぎていき、車で帰る頃には、すっかり暗くなっていた。
「さぁ、仕事は終わりだ。食事に行こうか」
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