俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
しばらくしてから、
「着いたよ。外に出よう」
シートベルトを外し、副社長が、先に車から降りた。
後から車から出た瞬間、暗い海に煌びやかな夜景が、目に飛び込む。

「す、凄く綺麗・・・」
自然に涙が溢れるほど、感動する景色。
異空間にいるようで、感動が体に染み渡る。

「そんなに喜んで貰えて嬉しいよ」
「私・・・こんな景色初めてで・・・感動が・・・止まりません」

学生時代はバイトと勉強で明け暮れ、お母さんの代わりに家事をしていた私。

好きになった人の横には、仲が良かった友達がいて、いつも一緒に帰っていた道を、1人で帰った。

こんな素敵なことを、当たり前に知っていた同年代の子達と、一緒に遊ぶ事が無かった青春。

どうしてかな・・・
暗闇を灯す光は、私の心にも光を灯す。
それは・・・私の横に、真っ直ぐ海を見つめる、大好きな副社長が傍にいるから・・・

私の手が届かない副社長。
例え、叶わぬ恋だとしても・・・
優しい副社長の傍にいて、仕事が出来るだけでも、私は十分幸せ。

「副社長・・・本当にありがとうございます・・・」
涙が溢れ出そうなのを我慢して、副社長にお礼を伝えた。

「寂しいか・・・富山が辞めて」
「いえ、夜景があまりにも綺麗で・・・」
「そうだな・・・今すぐこの手に入れたいくらい綺麗だよ・・・」
頭を優しくポンポンとされた瞬間、涙が零れだした。

優しい声。優しくて温かい大きな手。
こんなに素敵な副社長のこと、好きでいたい・・・

夜空に輝く星に願う。
副社長の心に、決まった人がいたとしても・・・
副社長のこと、好きでいることを、許してください・・・
今だけ・・・独り占めする事も・・・
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