俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
そう思った彼女が、うちを受けていたなんて・・・
「人事も大変なところ申し訳ないけど、青野さんを秘書室に迎えたいから、本人に確認してくれないか?」
「承知しました。人事は、また引き続き募集します。青野さんには、入社説明の時に確認します」

こんな風に、また会えるなんて。
俺は引き出しを開け、青野さんに貰った、くまの絆創膏を眺めていた。

そして、4月になり、彼女と副社長室で顔を合わせる毎日。

真剣な顔をして、木下さんに教えてもらったり、楽しそうに笑ったり・・・
青野さんが入社してから一緒に仕事をし始めると、すぐに俺は彼女の虜になった。

青野さんは、艶やかさや華やかさは無い。
でも、そんなものはいらない。
彼女の醸し出す純粋さは、一緒にいると落ち着き、俺に穏やかさをもたらす。

俺が年の離れた年下の女性に、心奪われるなんて、思いもしなかった。
青野さんは、どうなんだろう。
そう思っていた時に、同期の富山君と、毎週、金曜日に食事会をしている事を知った。

木下さんは、
「社内でも仲良く話してる姿を見かけるし、付き合ってるんじゃないかって、噂する人もいるみたいです」

確か、同い年だな・・・俺なんかより話も合うだろう。
そう心で言い聞かせても、胸にモヤッとしたものが、駆け巡る。
この俺が嫉妬・・・か。

彼女は俺の秘書。それも年下だ。
そう自分にどんなに言い聞かせても、本能には逆らえない。
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