俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
【副社長とくまの絆創膏】
家の近くの桜並木を、スーツを着て歩く。
晴海商事の面接は無事終わり、晴れて今日は初出勤。

私、青野 花純(あおの かすみ)24歳は、大学を卒業し、就職した企業では総務部に配属。
でも、入社して分かった事は・・・

更なる発展のためにと、大手企業と合併する話が、水面下で進んでいた。
表向きは協力して、だけど・・・
実際は、大手企業側の管理部が業務一元化で取り纏め、私達は、ただ、庶務的な業務をするだけになった。

必死に覚えた仕事。
ようやく日常業務に慣れ、3年目でこれからスキルアップだ!と思っていたのに・・・
そして私は、思い切って転職する決意をした。

転職活動を始めて直ぐに、
「晴海商事という、医療機器を主に取り扱っている大手メーカーが、人事課の求人募集をしまして、いかがですか?」
エージェントから連絡が入り、迷うこと無く、ダメもとで応募した。

書類選考を通過して、面接に行く途中では、ドキドキのハプニングがあったけど、無事、採用の連絡が来た。
内心、経験不足で、直ぐに決まると思って無かったから・・・
それも、こんな大手の企業に採用されて、ホッとした。

弁護士だったお父さんが、小さい時に亡くなった後、お母さんは、私と弟を女手一つで育ててくれた。
どんなに疲れていても、いつも笑顔で明るく振る舞うお母さん。

4つ離れている弟は、お父さんと同じ弁護士になりたいと、友達と遊ぶ時間を勉強に費やし、無事、法学部に合格した。

今回の転職をきっかけに、一人暮らしを始める私。
毎月、お母さんに仕送りするからと言うと、「いらない!」「私の弟よ!」と、いつもケンカになる。

自分のことは二の次で、いつも2人を応援してくれるお母さん。
仕事は不安ばかりだけど、お母さんに心配掛けないように頑張らないと。
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