俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
その瞬間、目が覚めた。何だ・・・夢・・・
あれっ・・・確か私、ソファで・・・
気が付けば、ベッドの上に寝ている。

隣を見ると、座ってスタンドの明かりで、副社長が本を読んでいた。
「副社長・・・私」
「あっ、ごめん。眩しくて起こしたか?」
「いえ、すみません。運んでもらって・・・」
「俺が待たせたから。あれから2件、電話しててね」
「そうでしたか・・・お疲れ様でした」
「今日は疲れただろ?大人げなく嫉妬して、無理させたから」
優しく微笑んで、大きな手で私の頭を撫でる。

「ゆっくり寝たらいいよ。おやすみ」
頭を撫でたまま、副社長は、片手で本を読み出した。

夢とはいえ、皐さんのところに行こうとした副社長。
ここに来るまでは、あれだけ迫られたのに・・・
私への気持ちは、そんなに大きくないのかなぁ・・・

一瞬の嫉妬だけで起った出来事だったら・・・
それとも、いざベッドに運んだら、魅力が無いと思ったのかな・・・
あんな夢を見たから、余計に寂しい・・・

それでも・・・
こんな私が、ベッドで優しく頭を撫でられながら、副社長の隣いる、今の幸せの方が勝つ。
大好き・・・その気持ちがいっぱいで・・・

「おやすみなさい、副社長」
副社長の上着の裾を握って、目を瞑った。
これだけでも、凄く幸せ。
だって・・・明日、目覚めたら、副社長が隣にいるんだから。
< 35 / 109 >

この作品をシェア

pagetop