俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
「・・・花純」
さっきとは違う、低くて耳に響く声に呼ばれて、目を開けると、副社長の目つきが変わっていた。

副社長室で向けられた、獲物を捕らえるような目つき。

「そんな可愛いことして、俺の努力を無駄にしたな」
本を閉じると、私に覆いかぶり、唇を奪った。

「明日まで待てなくなった。今から確かめさせて貰うよ。俺が初めてだっていう証明を」

暗い部屋に点るスタンドの光に、逞しい副社長の体が映しだされる。
キスをされながら、服を脱がされ、肌がさらされた。
そしてお互いの体温を感じると、副社長の唇と手がゆっくりと体を這う。

くすぐったく感じていたのは始めだけで、緊張で強ばった私の体は、時間を掛けて、優しく解きほぐされた。

副社長に委ねて、初めての感覚が体を駆け巡る。
恥ずかしいけど、凄く幸せ・・・

「大好きだよ・・・花純」
ゆっくりと副社長を受け入れて、また1つ、初めての経験をする。
痛みも、副社長の愛情たっぷりのキスに翻弄されて、薄れていく。
そして、2人は繋がり、副社長に優しく包み込まれた。

「花純の初めての男は・・・間違いなく俺だ。凄く嬉しいよ」
「副社長・・・」
「2人の時は副社長じゃない。俺は花純の男だ」

仕事では見せない、色気混じりの目に見下ろされる。
いつもの副社長じゃ…ない。

「柊弥・・・さん・・・」
「花純の体は、もう俺しか知らないことになるけど、飽きさせないから」
優しく愛に溢れた初めての経験は、心と体に深く刻み込まれた。
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