俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
入社前に、本採用の説明を受けに、晴海商事に向かうと、
「人事課の募集でお願いしたのですが、実は、秘書室でも1名募集してましてね。社員が5月末で退職するので、こちらが取り急ぎでして・・・」
1次面接をしてくれた管理部長が、申し訳なさそうに話出した。

「青野さんは資格もあるし、秘書室は総務の経験も活かせますよ。それに、本来、当社の秘書に合格するのは、超難関です。是非、お願いできませんか?」

どうしよう・・・
会社には、3月末付で退職届も出したし、今更、それなら断りますとも言えない。

確かに、秘書検定1級は大学の時に受けていている。
それに、部長さんが言ってくれたように、こんな大手企業の秘書なんて、誰でも出来るわけないし・・・
無理なら異動のお願いをすればいいかも・・・

「はいっ、お願いします」
秘書か・・・期待と不安を膨らませる。

そして今日、初日を迎えることになった。
管理部長に案内され、向かったのは副社長室。
そう、私が命じられたのは、副社長の秘書だった。

「今、副社長は席を外してますが、秘書がいますから」
管理部長に案内されて、役員フロアにある副社長室へ案内された。
「副社長室は、副社長と秘書だけが外から入室出来ますので」
「は、はいっ」
凄いセキュリティ。
ドアホンを押すと、1人の女性が出迎えてくれた。

「木下さん、こちらが後任の青野さんです」
「青野です。ご指導宜しくお願いします」
「木下です!宜しくお願いしますね!」
元気よく挨拶してくれたのは、笑顔が素敵な秘書の木下さん。

副社長の秘書って、エリート美人のクールな人と思ったけど、ゆったりした服を着ている木下さんは、愛嬌のある、とても明るい人だった。

「では、木下さん。後はお願いします」
管理部長は、私の事を木下さんに任せて、部屋を出て行った。

木下さんは、ふっくらしたお腹を撫でながら、話し出した。
「6ヶ月なの。産休を取るか迷ったけど、主人の仕事を手伝うことになって。退職するまで誰も来なかったら、どうしようかと思ってたの。良かったわぁ!」
「私で務まるか、不安ですが・・・」
「引き継ぎ期間は2ヶ月だけど、うちの副社長は、ほぼ自分で管理してるし、来客対応と書類整理くらいだから、大丈夫よ!」
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