俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
次の日から、和弥は花純に声を掛けていた。

「花純ちゃん、書類運ぶの手伝うよ」
「大丈夫です。和弥さんは、専務のお仕事で大変でしょうから」

「お昼、近くのフランス料理でも食べに行かない?」
「すみません。お弁当作って来たので」

「柊弥は昼から外出だから、一流ホテルの夜景が見れるディナーでも行こうよ」
「柊弥さんが仕事で遅くなるのに、私が楽しんでいられませんから」

「何かプレゼントするよ。何でもいいよ」
「そうですね・・・柊弥さんとお揃いの物なら、何でもいいです」

毎日事あるごとに、色々と花純に優しくしていたけど、和弥に対しても、俺に対しても、いつもと変わらない態度を取っていた。

「もう5日経ったけど、何も変わらないな、和弥。もう諦めろよ」
「あのさ。2人が一緒に住んでたら、僕は不利だよね。それに、花純ちゃんを抱いてるだろ?」
「それは・・・仕方ないだろ。花純だって変に思う」
「今日からは抱かないこと。寂しさを感じた時に、他の男にいかないかだよ。昔はそうだったじゃないか」

確かに・・・
そもそも、同棲をしたことが無かった。
仕事から帰ったら1人の時間が欲しい。
彼女に言われたら、ホテルか彼女の家に行って抱いて、疲れていたら断ることもあった。
俺の欲求が、彼女達より、仕事の方が大きかったから。

でも、花純は、ほぼ毎日抱いている。
それは・・・花純を抱きたいという、止められない本能。
花純が俺を受け入れて、乱れる姿が見たい。
抱いて、愛し合っているんだと安心したい。

「それは出来ない」
「柊弥から求めてるんだろ。彼女から求めて来たこと、ある?」
「それは・・・」
「彼女みたいな純情な子、求められたら断れないだろ?」

そうなんだろうか・・・
花純は・・・俺が求めるから・・・だけなのか・・・
そう言えば・・・
花純からキスすることも、俺に抱きついたりする事も無かった・・・
好きなら触れたいはず・・・だよな。

「分かったよ。来週の土曜日、和弥が帰るまで、俺は花純を抱かない」
「約束だよ。それと、帰国する前の土曜日は、花純ちゃんと2人きりでデートさせて」
「・・・あぁ。それで、花純が和弥に振り向かなかったら、もう認めろ」
「もちろんだよ。別に僕が好きなわけでもないんだから」

たった1週間。
それくらいで、花純の心が俺から離れることはない・・・はずだ・・・
でも、俺が一瞬で花純に惹かれたんだ。
時間の問題でも無いか・・・
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