俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
そして俺は、和弥との約束通り、花純を抱いていない。
夜、花純が、片付けが終わる前にベッドに入り、ベッドに寝る時は、先に目を瞑っていた。

「柊弥さん、おやすみなさい」
囁くように俺に言うと、そのまま眠りについていた。
しばらくして目を開けると、気持ち良さそうに寝ている。
その寝顔に、思わず手が伸び、頬を撫でそうになった。

『約束だよ』
その言葉を思いだし、手が止まる。

花純・・・本当に俺を求めないんだな・・・
俺は、こんなに花純を抱きたいのに・・・
俺は花純に背中を向けて、目を瞑った。

そして、和弥がニューヨークに戻る前日の金曜日を迎えた。
会社では変わらず、花純に優しく対応する和弥。
たった1週間。
そう思っていたけど、2人の距離は縮んでいる。

「花純ちゃん、ついでだから、僕が営業部に書類持って行くよ」
「助かります。私も一緒に行きますね」

「お昼、せっかく日本に来たし、美味しいランチ食べに行きたいなぁ・・・」
「それでしたら、私、ご案内しましょうか?美味しい定食屋さんがありますから」

「花純ちゃん、コーヒー淹れようか?」
「私が淹れますよ。今の時間なら・・・和弥さんは、ブラックですね」

誰が聞いても日常会話。
ただ、俺にとっては、徐々に近づく距離感が、不安でしかなかった。

「花純ちゃん、明日さ、帰る前に買い物したいんだ。一緒に来てくれる?」
「はい、いいですよ。柊弥さん、どうですか?」
「・・・俺は家で仕事をするから、2人で行っていいよ」
「そうですか・・和弥さん、私が知ってるお店でいいですか?」
「ありがとう。柊弥、僕、夜の便で帰るから。また連絡するよ」
「あぁ・・・」
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