俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
そして、次の日。
和弥の宿泊しているホテルの外まで、花純を連れて向かった。

「和弥さん、私、お水買いたくて。少し待っててくださいね」
花純は、近くにあるコンビニに向かって行った。

「あのさ、柊弥・・・ごめん」
「何か謝ること、あったか?」
和弥は花純の後ろ姿を見送って、真剣な目つきで俺に視線をぶつけた。

「嘘で振り向かせるつもりだったけど・・・一緒に過ごして、あまりの可愛さと純粋さに、僕、花純ちゃんのこと、本気になったみたいだ」
「はぁっ?何言って」
「今日、1日デートして、僕に気持ちが傾いていたら・・・昔の彼女達のようにはいかないと思う」

しばらく和弥と目線がぶつかる。
「お待たせしました、和弥さん」
水を買った花純が急いで駆け寄って来た。

「うん、行こうか」
「柊弥さん、無理しないでくださいね」
「あ、あぁ・・・」
楽しそうに2人で歩いて行く後ろ姿を見れず、直ぐにその場から離れた。

2人が買い物している間。
不安で仕方ないこの時間。

この1週間、花純に触れていない。
それでも花純は、寂しそうな態度も言葉も無かった。
傍に和弥がいたからか・・・
和弥の存在が、寂しさを埋めていたなら・・・

もし・・・今日で和弥の優しさに更に触れて、気持ちが傾いたら・・・
いや、もう既に傾いていたら・・・

負の思いばかりが、頭をよぎる。
ダメだ・・・家では集中出来ない。
会社に向かい、一心不乱で仕事に打ち込んだ。
< 50 / 109 >

この作品をシェア

pagetop