俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
【プレゼンがプロポーズ?】
12月に入り、街並みはイルミネーションで彩られる。

ずっと進めて来たアメリカ医療機器業界のトップ『F&D.Inc』が開発した医療機器の購入権利の交渉日が近づいて来た。
購入した場合、先日、挨拶に行った白波総合病院に納める予定だ。
プレゼンは、海外営業部の石川部長と技術部長、ニューヨーク支社の和弥さんが任されていた。

朝、仕事の準備をしていると、険しい顔と厳しい声で、柊弥さんが部屋に戻って来た。

「どうして、そんなことになったんだ?」
電話で話をしていて、相手が誰だか分からない。
ソファに腰掛けて、頭を抱えて話を聞いている。
仕事では、どんなハプニングも冷静に対応する柊弥さんが、こんなに慌てるなんて・・・

「信頼問題だな・・・一旦切るぞ。また後で掛ける」
電話を切ると、天を仰ぐように上を向いていた。

どうしたのか聞きたいけど、声を掛けれる状況じゃない・・・
そのままデスクに向かって、仕事をしていた。

「花純、緊急会議するから、役員と各部長に連絡して、大会議室に集めてくれる?」
「は、はい」
「それと、ニューヨーク支社とWeb会議するから準備して」
「分かりました。すぐ準備します」

柊弥さんが慌ただしく、ファイルとノートパソコンを準備していた。
「今日は終日会議で、帰りも遅くなるから」
慌てて部屋を出て行く柊弥さんを見送って、私は会議招集の連絡を始めた。
< 56 / 109 >

この作品をシェア

pagetop