俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
「各国に1台提供することになっててね。だから、ドイツとフランスが手に入れることになるだろうな」
「納品が確定してたわけじゃ無いですよね?」
「白波総合病院の病院長は、うちが獲得すると思ってるからね・・・正直、今回は俺も自信あったから」
深くため息をつく柊弥さんに、掛ける言葉が無い。

「でも、悩んでも仕方ない。花純も行くか?ニューヨーク」
「私が行っても・・・」
「俺が話をするから、横で、パソコン操作してくれる?」
「そんな大役、無理です!和弥さんや海外営業部の人達がいるじゃないですか」
「連れて行く予定だった石川の日程調整が難しいんだ。和弥は責任感じて落ち込んでるし。大丈夫、出来るよ」
「でも・・・」
「言っただろ?今回は、ほぼ勝算は無い。それなら、俺の傍で、世界的な企業へのプレゼンをする経験をさせてあげたいんだ」

どうしよう・・・プレゼンの場なんて、経験したこと無い上に、そんな大切な商談の席なんて、いくらなんでも・・・

「今回は流石に、心が折れそうになっているんだ・・・花純と2人なら、プレゼンも楽しく出来る。お願いだ・・・花純」

哀愁漂う目で、弱々しく訴える柊弥さん。
初めて見る柊弥さんに、胸がキュンとなった。

「分かりました。頼り無いですが・・・少しでも柊弥さんのお力になれるなら」
柊弥さんが大変な時に、支えるのが秘書、そして彼女なんだから。
「一緒に行ってくれるのか・・・」
「はい、行くまでに教えて下さい」
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