俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
【心揺れる人の噂の彼女】
秘書として、木下さんから引き継いで1ヶ月が経つ。
副社長は殆ど自分で仕事をこなすから、他部署に書類を持って行ったり、書類の作成をしたり、来客対応で時間が過ぎる日々。

「青野さん、仕事を覚えるのも早いし、この分だと大丈夫ね」
木下さんが、大きくなってきたお腹を撫でていた。

「副社長には伝えたんだけど、来週から有給消化させて貰おうと思ってるの。電話はいつでも、掛けて来てくれたらいいから」
「私、急に不安になってきました」
「青野さんなら大丈夫よ!それに副社長がいるから」

忙しい副社長に、木下さんが居なくなったからと、負担を掛けてもダメだし・・・
それに、木下さんを安心させないと・・・

「木下さん、今週もう1度、マニュアルを見ながら、確認していいですか?」
「もちろんよ!」
「宜しくお願いします!あっ、この書類、営業部長に持って行きますね」

来週から、副社長と2人・・・しっかりしないと。
ちょっと待って・・・ということは、来週からあの部屋に2人っきり・・・

急に、仕事の緊張と、あの部屋に2人で毎日過ごすというドキドキが、一気に押し寄せて来た。

「青野さん、仕事慣れた?」
営業部に書類を持って行った時に、声を掛けてくれたのは、同じ日に、中途採用で入社した、海外営業部の富山君だ。

「うん、少しはね・・・富山君は?」
「大手企業だからって期待してたけど、そうでもないかなって感じ。まぁ、ダメならまた違う会社に行けばいいしね」

そんな割り切って仕事してるんだ。自信ある人っていいなぁ。
「青野さん、明日の金曜日、仕事終わってから時間ある?同期会したいなって思ってさ」

偶然にも、たった2人の同期で同い年だし、他部署の仕事の話も聞きたいし・・・
「うん、大丈夫だよ」
中途採用で同期がいるって、心強い。
< 6 / 109 >

この作品をシェア

pagetop