俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
その後、社長は私の方を向いて、穏やかに微笑みながら話し出した。
「それと申し訳無いが、青野さんの身の回りのことは調べさせて貰ったよ。お母さんに感謝しないとね。とても気さくな人だと、評判が良かったよ。弟さんが弁護士を目指しているからと、あなたが色々援助していたこともね。いいご家族だ」

その言葉を聞いて、胸が熱くなった。
身分も違えば、気品も教養も無い私・・・
きっと大反対されると思っていたから・・・

「愛の力は糧になる。柊弥。周りから、青野さんと結婚してから、更に良くなったと言われるようになりなさい」
「あぁ、約束するよ。ありがとう」
「青野さん、柊弥のこと、宜しくお願いします」
「はいっ、こちらこそ宜しくお願いします」

「柊弥、母さんが、今日家で待ってるから、2人で来るように伝えて欲しいって」
「あぁ、仕事帰りに行くよ」
「私は、今から山下社長と会うから、後は頼んだよ。青野さん、またゆっくりお話しましょう」
「はいっ、今日はありがとうございます」
部屋を出て行く社長に挨拶をして、胸をなで下ろした。

「良かったです。まさか賛成してくれるなんて」
「父さんは俺のする事に、滅多に口を出さない。それに、俺が言うことを聞かないことも、よく知っているからね」

優しい声で、私を抱き寄せた。
「さぁ、あとは母さんか・・・」
囁きながら漏れる柊弥さんのため息が、不安を掻き立てた。
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