俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
目を細めて、表情一つ変えず見つめられ、泣きそうになる。
寒くも無いのに、手と足が勝手に震える・・・

でも・・・許して貰えなくても、本気で愛している気持ちだけは伝えたい。
この気持ちに嘘は無いんだから。

「・・・柊弥さんに相応しくないのは分かっています。家柄もそうですし、容姿も、学歴も・・・でも、柊弥さんへの想いは、他の女性に絶対負けません」

柊弥さんと過ごして来た日々を、思い出す。

仕事では、どんなに忙しくても、考え方やどう判断していくかを、案件がある事に丁寧に説明してくれる。

副社長室で、時々「疲れた・・・充電させて」と、抱きついて甘えてくる姿。

休みの時は、一緒に料理したり、ソファに座って映画を観て、楽しく過ごした時間。

そして、ベッドの上では溺れるような愛に、心も体も満たされて・・・

付き合った時間の長さより、柊弥さんへの愛の深さは、誰にも負けない。

「柊弥の態度見たでしょ。いつかあなたにも、あんな態度を取るかも知れないのよ」
「どんな柊弥さんも、私の愛する柊弥さんです。それに、柊弥さんは理不尽に冷たい態度を取ることはしません」
「あなたみたいに、純粋なお嬢さんが、あんな淡々と話をして、人に厳しい子の何処がいいの?和弥ならまだしも・・・」

和弥さんの優しさは知っている。知ってるけど・・・深さが違う。

柊弥さんは、どんなに厳しい言葉にも愛がある。
そして、私をいつも包み込んでくれる優しさ。
柊弥さんの本当の優しさを知っているのは私だけ・・・

「私にとって・・・柊弥さんほど、優しい人はいません・・・すみません・・・」
柊弥さんの今までの優しさが、頭の中に映像として流れ、我慢していた涙が溢れ出してしまった。

「青野さん」
お母さんが、厳しい顔で私を見た。

ごめんなさい、柊弥さん。
お母さんには、私の気持ちが伝わりませんでした・・・
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