俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
歩きだそうとすると、そのままスミスさんに腕を掴まれた。
「あの・・・@#&%*#・・・・」
急に英語で話されて戸惑う。
英会話の練習なのかな・・・でも・・・

「スミスさん、すみません・・・もう少しゆっくりお願い出来ますか?聞き取れなくて・・・」
「@#&%*#・・・・?」
「えっと・・・」

やっぱり分からない。
でも凄く真剣な目をしている・・・何か困ってるのかも・・・
どうしよう・・・
柊弥さんに分からない時は、返事をしないようにって言われてるし。

「@#&%*#・・・・Yes or No」
スミスさんは、あんな事、言うわけないし。
取りあえず、大丈夫だって安心させるために、Yesって答えたらいいのかな・・・
「あっ、えっと・・・イ」

Yesと言いかけた時、
「私はあなたに一目惚れしました。あなたを好きになっていいですか?」
声をした方を見ると、肩で息をしながら、髪を振り乱した柊弥さんが立っていた。

「柊弥さん・・・」
「スミスさん、その答えはNoです。私達は結婚してますから」
「晴海副社長・・・えっ・・・結婚?」
「はい。気付きませんでしたか?彼女の左手の指輪に」
私の左手を掴み、スミスさんに見せた。

「えっ・・・花純、指輪は?ホテルではしてただろ?」
「あ、あの・・・無くしたらダメだと思って、外出の時は、財布に入れてまして・・・」
「はぁ・・・」
ため息をついた後、目を細めて、冷たい視線を浴びる。

「原因は花純だな。全く、携帯は繋がらない、指輪はしてない、おまけにスミスさんに告白されて」
「す、すみません、晴海副社長。まさか奥様とは知らずに」
「いえ、花純は何故か、結婚する前からこんな感じでして。指輪してたら大丈夫だと思って油断してました。スミスさん、和弥が待ってますので、会社に行きましょう」

黙って2人が話をしている後を付いて、会社に戻ると、
「和弥、10分ほど待ってて。花純、ちょっと」
私の目を見ず手を引き、部屋を出た。
< 92 / 109 >

この作品をシェア

pagetop