俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
【夫婦から家族への契り】
旅行から帰ると、柊弥さんはスミスさんとの話を、各部長と打ち合わせをして、直ぐに皐さんや取引先にも連絡して、早々に協力体制を組んだ。

2人の時は、甘々だけど、副社長としての柊弥さんは、幾つもの仕事を同時にこなして、本当は3つ子じゃないかと想像して、見つめていた。

「どうした?そんなにじっと見て。そうか・・・自分から言い出せないんだな、抱いて欲しいって」
書類をデスクに置き、引き出しに手が掛かった。

「ち、違いますよ!お仕事に集中している柊弥さん、凄いなぁって」
「惚れ直したか?」
「そ、そうですね」
「可愛いこと言って・・・花純が傍にいることも、力になっているんだ」
「いえ、何もお役に立てなくて」
「俺が安らぐ空間だから、仕事もはかどる。助けて貰ってるよ」
「そ、それならいいですが・・・」

そんな話をしていると、柊弥さんの電話が鳴った。
「はい・・・あぁ、今ならいいよ。・・・分かった。待ってるよ」
それだけ言うと、電話を切った。

「石川からだった。相談があるって。直ぐ来ると思うから」
「それなら、私、席を外しますね」
「いいよ。秘書で妻に、隠し事をする必要はない」
「はい・・・あの、コーヒー、淹れますか?」
「あぁ、頼んだよ」
コーヒーの準備をしていると、石川部長と柊弥さんの話声が聞こえて来た。

「どうぞ」
「ありがとう、青野さん」
会社では、皆、慣れた旧姓で呼ぶ。

「何だ、神妙な顔して」
「実はさ・・・皐のことで・・・」
石川部長は肩を落とし、ため息をつきながら話し出した。
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