俺に夢中になれよ~純情秘書は溺甘副社長の独占欲を拒めない
「最近、よそよそしいんだ。何か隠してるっていうか・・・」
「本人に直接聞けよ」
「だってさ、その・・・」
私の顔を見て、戸惑っていた。

「女性の立場として、花純にも聞いてもらえよ」
「あ、うん・・・夜に俺が求めても、疲れてるからって、ここのところ、避けられてるんだ」
「まさかと思うけど、他に女いないよな?前も誤解して、相談に乗ったけど」
「いるわけないだろ!誤解されるようなこともしてない!」
「そうだな。そんなことあったら、皐さんなら、相談に来るだろうし。なら、どうしてだ・・・」
2人は沈黙で悩んでいた。

もしかして・・・
「あの・・・最近、皐さん食欲ありますか?」
「そういえば・・・体調が悪いって言って、ご飯に誘っても行かないんだ」
「あぁ、この間も打ち合わせで、お弁当出したけど、皐さん、殆ど食べてなかったな」
「それって・・・妊娠されてませんか?」
『えっ!!』
2人、同時に私の顔を見た。

「つわりが始まって、食欲も無くて、お腹に赤ちゃんが出来たから、その・・・夜の方も控えてたのではないかと・・・」
「石川、気付かなかったのか?」
「う、うん・・・あっ・・・もしかして、2ヶ月前に旅行に行った時かも・・・」
「石川・・・直ぐに皐さんに連絡しろ!」

慌てて、石川部長が皐さんに電話した。
「今、何処にいる?・・・えっ?こっちに書類を持ってくる途中か!副社長室で待ってるから、来てよ」
電話を切った石川部長は、緊張して顔が強ばっていた。

「おいっ、2人の大切な話を、ここでするのか?」
「1人で聞く勇気がない」
「石川。皐さんは、お前が頼りないから言い出せなかったんだぞ。不安なのは、皐さんだろ?」
「石川部長は、皐さんと結婚する気は無いのですか?」
2人に問い詰められると、石川部長が肩を落とす。
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