ごめん、キミが好き《短編・完結》
「山城さんはさ、彼氏とか居るの?」
おしゃれなバーのカウンターで、おいしいカクテルはどんどん進んでく。
酔いも助けて、私も部長も話が軽快になる。
「彼氏〜、今はいません。」
ホントに居なかった。
高校を卒業するまでは、切れる事なかったのに短大でも、社会人になっても彼氏が出来る事はなかった。
「じゃあ、俺立候補しようかな?」
私達はクスクス笑いながら束の間のお酒を楽しんだ。
―――――――――
「ご馳走様でした。」
終電もなくなったから、部長に家までタクシーで送ってもらった。
「さっきの話、冗談じゃあないからね。考えておいて。おやすみ。」
さっきの話。
そうだ、私は彼氏を作らなきゃ。
「はい…。」
部長に、『おやすみなさい』と告げて、自宅の門を空ける。
午前2時。
タクマはもう寝てる。
ほっとして玄関に目をやると…
タクマが立っていた。