ごめん、キミが好き《短編・完結》
あたり一面真っ暗で、玄関の小さな灯りだけが頼り。
タクマの頬にもまつ毛にも影がついて、色っぽい。
「おかえり。」
腕を組ながら、門にもたれかかるタクマ。
明らかに機嫌が悪そうに静かに声をかけてきた。
「…た、だいま…。」
それから何も言わずに私を家に入れると、タクマは強引に私の腕を掴み部屋に上がった。
タクマの部屋、久しぶりに入った。
「考えるって何を?」
ベッドに静かに座るタクマを、私はドアの前でただ見つめる。
「聞いてたの?盗み聞きは良くないよ。」
「いいから答えて。」
タクマの口調から、珍しく苛立ってるのがわかった。
「彼と付き合うって話。」
私はわざと微笑んでみせた。
「付き合うの?」
「さあね。格好良いし、お金ももってる。素敵なお兄さんってとこかな。」
「許さないよ。」