ごめん、キミが好き《短編・完結》
「今日からは、昔みたいにお互いを家族だと思いたいの。」
最初の頃の二人に戻る。
そんな事…無理だけど、そう言ってタクマを突き放すしか私には逃げ道が見つからない。
「ユイ…もう遅いよ。俺はユイしか考えられない。子供の頃からずっと…ユイだけが俺の大事な女だよ。」
スタンドライトの小さな光だけでも、私の瞳を真っ直ぐ見つめるタクマの真剣な表情が伺える。
お願いタクマ。
もう、私に夢を見せないで。
「ユイ、何で急に…いや。急じゃないよね。ここ最近、ユイは俺を避けてた。俺の事…嫌いになった?」
「…もう今日でおしまい。ね?タクマ…。」
「…………」
タクマの手を振り払ってベッドから立ち上がる。
タクマの方を振り返らない。
嫌いになんてなる訳がない。
振り返って、タクマの顔を見ればきっと…
私は本当の事を言って、タクマにしがみついてしまう。
でも言わない。
ごめんねタクマ。