ごめん、キミが好き《短編・完結》
もう何も言わなくなったタクマに、一言『おやすみ。』とだけ言って、私は部屋に戻った。
午前4時。
ベッドに倒れ込むと疲れがどっと出た。
両腕を肩に回すと、さっきまでのタクマの体温を感じる。
目をつむると、私を見下ろすタクマの色っぽい表情が浮かぶ。
耳を澄ませば、タクマの甘い言葉が聞こえてくる。
『ユイ、可愛い。もっと見せて?』
『離したくない。』
『ユイは俺のもの。』
『愛してる。』
17才のタクマが言うにはまだ早いかもしれない。
それでも私は、甘く、溶ける様な感覚に陥ってしまう。
もう病気だよ。
自分から突き放して、タクマの体温を忘れられる自身がない。
明日は土曜日。
ゆっくり眠れる。