ごめん、キミが好き《短編・完結》
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私が目覚めたのは、お昼に近い時間。
いつもの様に私をキスで起こしてくれてた、タクマの姿はなかった。
残されたのは、タクマが目覚めのキスをしに来た夢を見ただけ。
ママとパパはリビングで昼食を取ってる最中だった。
「まったくユイは寝坊助だなぁ。ねえ、ママ。」
パパは新聞を読みながらチラッと私を見る。
「本当にねぇ。最近毎日遅くに帰ってきて。パパよりも、タクマ君が毎日心配してるわよ?」
タクマの名前を出されて、ドキッとする私に、二人共気付かない。
「ねぇ、タクマは?」
ママが私のコーヒーを入れて手渡しながら言った。
「朝から出かけたわよ。デートかしら?」
デート…な訳ない。
でも良かった。
さすがに今日は顔を合わせずらい。
「そっか…。」
ママが入れた熱々のコーヒーにとりあえず口をつける。
「タクマ君、もうすぐ卒業ねぇ…寂しくなるゎぁ。」
ママがテーブルに頬杖ついて呟いた。
やめて。
分かってるよママ。
だから言わないで。