ごめん、キミが好き《短編・完結》
結局、タクマと会話を交わす事もなくタクマの誕生日が来てしまった。
誕生日プレゼントは用意してる。
タクマは本当に彼女が出来たらしく、昨日から日にちをまたいでお祝いしてもらったみたい。
胸が締め付けられる。
朝方帰って来たタクマが、夕食の時間までには起きて来たから、今日は家族で誕生日祝い。
タクマとの会話もギクシャキしてるのがバレバレな私。
久しぶりにちゃんとタクマの声を聞いたよ…。
触れたいのに触れられない。
もどかしい所じゃないこの距離感を、なんとか保とうと思うけど…
やっぱりタクマの口元や、指先、腕や喉にまで目がいってしまう。
これじゃただの変質者。
なんとか一通り夕食を食べおわると、今度は小さな庭に出てシャンパンで乾杯。
うちの両親はイベントが大好き。
「パパ、ケーキ切りましょう?」
「ああ。なんだかウェディングケーキ入刀みたいだなぁ…。」
やだパパったら、なんてじゃれながら、二人は私達を残してリビングに入って行った。