ごめん、キミが好き《短編・完結》
「ねえユイ、もし今ここで、俺がユイにキスしたら…おじさんもおばさんも驚くかな?」
タクマがパパ達を見つめて、無表情で呟く。
「な…に言ってるの?」
パパとママはリビングで仲良くケーキを切ってる。
「冗談はやめて。」
私はワイングラスを意味もなく見つめる。
なんとか冷静になろうとするけど、内心ヒヤヒヤしてる…。
だって、今のタクマはいつもの悪魔な八重歯が見えない。
いぢわるじゃなくて、本気。
するとタクマは両手で私の後頭部と、腰を力任せに引き寄せた。
「っ…!やめっ…!」
手元のグラスが傾く。
パパ達が私の声に反応して、顔を上げる…。
と、その瞬間、タクマは何食わぬ顔で私から離れて…私のシャンパンを優雅に飲んでいた。