ごめん、キミが好き《短編・完結》
タクマのお父さんから、私に電話が入った。
『ユイちゃん、久しぶりだね。元気かい?』
「聡おじさん、お久しぶりです。」
そこからは、しばらく他愛のない話をしていた。
私はこの電話の意図が分からなかった。
『その…タクマは、君をずいぶん気に入っているみたいだね。』
ドクンッ―
「タクマは…、私を姉の様に慕ってくれてますよ?」
何?
何かマズイの?
『タクマが18歳になったら、3月の卒業式を待ってすぐに私はタクマを迎えにいくよ。』
え?
『こっちで、私の右腕になってもらい、のちに会社を継いでもらう。』
そういう事だったの。
私が何も言えずに黙っていると、聡おじさんは、続けた。
『タクマは君をとても大切に思っているよ。きっと君と離れるなんて、受け入れてくれない。』
『勝手な事を言ってるのは分かってる。ユイちゃん、タクマには何も言わずに…タクマと離れて欲しい。』