ごめん、キミが好き《短編・完結》
今日は仕事にも身が入らない。
一昨日の、タクマのあの冷めた目が…鉛の矢の様に私の心臓にグサっと刺さったまま。
なんだか、久しぶりに飲みたい気分。
「ミホサン、仕事終わったら…チョット付き合ってもらえます?」
先輩社員に声をかけて、定時で上がるとそそくさと二人の行き付けの居酒屋に直行。
ミホサンは、会社で唯一本音で話せる先輩。
学生時代の友達とは、予定が合わなくて最近は遊んでないな。
そんなストレスを発散する様に、タクマとの事を忘れる様に、安心感に浸った私は随分な量のアルコールを、短時間で体に流し込んでしまったらしい。
ミホサンに心配されながら、足元がふらつきながらもなんとか終電で最寄りの駅に到着。
酔ってたし、なんだか他の事はどうでも良くて…
少しぬるい風が心地よくて…
この時は、私を見る誰かの視線に気が付きもしなかった…。