ごめん、キミが好き《短編・完結》
タクマは私をリビングのソファーに座らせて、そっと隣に腰を下ろした。
「ユイ…良かった本当に。」
そっと…でも、力強くタクマは私を抱き締めてくれた。
私は何も言えないまま、ただタクマの胸に顔をうずめた。
「ユイと初めて会った時、俺すごい不安でさ…。覚えてる?」
タクマはいきなり昔の話をし始めた。
「子供だったし、父さんの会社の事なんて分かんないから、いきなり一人にされた気がして。」
「覚えてるよ。タクマ、すごい今にも泣きそうな顔してた。」
そのタクマを見て、私はずっとこの子を守りたいって思ったんだもん。
「おじさんもおばさんも、やさしくて…俺を本当の息子みたいに愛してくれたんだよね。」
「それは、タクマが可愛かったからだよ。」
私はクスッと笑ってみせた。
「ユイも、俺を愛してくれてると思ってた…。」