ごめん、キミが好き《短編・完結》
タクマの真剣な目に、一瞬引き込まれるかと思った。
「あ…いしてた…よ?」
「それは…家族としてだもんね?」
私を見つめてたタクマの瞳から、私の姿が映らなくなった。
「うん…。」
「ユイに彼氏が出来始めて、俺正直焦ったよ。それでも、絶対いつかは俺のものにするんだって…ユイは俺が守るんだって…ずっと待ってた。」
『ユイは俺が守る。』
タクマの口癖だった。
「でも…俺じゃ…なかったんだね。」
タクマは目を閉じた。
「ごめんねタクマ…。」
泣いちゃいけない。
涙をぐっと堪えて私はタクマの瞼を見つめた。