ごめん、キミが好き《短編・完結》
「…タクマ、一生のお願いだ。これから、父さんと一緒に来て欲しい。会社を継いでもらいたいんだ…。」
おじさんは、そっとタクマに頭を下げた。
タクマはどんな反応をするんだろう…。気になって仕方ない。
それでも、私はタクマの顔を見れなかった。
「…なんだよ…それ。そんな話一度も…聞いてない。俺は、ずっとこの家にいるって思ってたのに。」
聡おじさんが顔を上げて静かに言った。
「勝手な事を言ってるのは分かってる。…でも…」
ガタンッ―
そんなおじさんの言葉を遮る様にタクマが席を立った。
「ふざけんなよ。俺がどれだけ寂しかったか…父さんに分かる?それなのに今さら俺を連れていく?冗談じゃない。」
タクマの冷静に放つ言葉は、どんなに聡おじさんを落ち込ませたかなんて、おじさんの落胆した顔を見ればすぐに分かる。
「俺は行かない。」
タクマはリビングを出て行った。