ごめん、キミが好き《短編・完結》
その日、軽く1時間で荷物をまとめたタクマはおじさんと一緒に、家を出て行く事になった。
私達はタクシーで空港まで見送りに行った。
「タクマ君…!元気でねっ…おばさんっ…本当に楽しかったわよ…タクマ君みたいな息子と一緒に暮らせて本当に…幸せだったの…。」
ママがおいおい号泣するもんだから、私は全然泣けなかった。
むしろ良かった。
「おじさん、おばさん…本当に今までありがとう。本当の家族みたいにしてくれて、愛してくれて…俺こそ幸せだった。」
「タクマ君…体に気を付けて、頑張ってな。いつでも遊びにおいで?」
酔いの冷めたパパがママを支えながら、タクマの肩を叩いた。
「ありがとう…ございま…す。」
タクマが涙を飲んでる。
「…ユイ…。」
ビクッ―
次は私が名前を呼ばれると分かってたのに、それでも怖かった。
タクマの口から別れの言葉を聞くのは、辛い。