ごめん、キミが好き《短編・完結》
ねえタクマ…
あの日、ちゃんとケジメをつけて諦めたタクマへの気持ち。
忘れたんじゃなくて、胸の奥に閉まっただけなの。
新しい彼氏はタクマとは全然違うタイプだけど、私は幸せだよ。
先週、タクマを見たよ。
テレビでね。
海外の経済新聞を取り上げたニュース。
タクマが報道陣に囲まれて、豪華なホテルに入って行く写真が載ってたよ。
大人になったね。
なんて、白黒の粗い新聞記事なんかじゃ分かんないけど。
22歳でおじさんの跡を継ぐなんて、すごいね。
『若干22歳の若手社長!いや〜なんとも端正な顔立ちですね。海外で成功するくらいなのだから、かなりのやり手なはず。隣に居るのが、彼が海外に行ってからずっと交際してる、許婚だそうで…』
キャスターの言葉だけが静かなリビングに響いた。
許婚…きっとあの日聡おじさんから聞いた女の子の事。
成功を掴んだんだねタクマ。
良かった…。