ごめん、キミが好き《短編・完結》
ユイと俺が初めて出会ったのは、俺が確か7歳くらいの時。
いきなり父さんに連れられて行った先がユイの家だった。
何も分からない、ただ父さんに捨てられたとしか思えなかった幼い俺を、おじさんもおばさんもユイも、温かく迎えてくれた。
「今日からここが、タクマの家だよ。私達はタクマの家族だからね。」
ユイの優しい言葉は、俺を包み込んだ。
俺には家族が父さんしか居なかった。
それまで、二人暮らしな上父さんは仕事でなかなか帰らないから、一人寂しく食事をしていた俺にとって…
本当の家族を教えてくれた大切な人たち。
「おやすみタクマ。」
誰かのぬくもりを感じながら眠る幸せと、安心感を教えてくれたのは、ユイだった。