ごめん、キミが好き《短編・完結》
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「嬉しいなっ♪タクマってば、誘っても全然遊んでくんないんだもん…。」
駅前のベンチから駆け寄ってきて、俺の顔を覗き込むように話かけてくる女の子。
ハデな化粧に、ミニスカート、これでもかってくらいに胸の開いた服を着てる。
クラスメイトのカオリは、高校入学当初から何かと俺の周りをうろちょろしてたんだ。
ユイとは全く正反対な女。
だから昨日の今日で、遊び相手に選んだ。
「ね〜ぇ?なんで今日は誘いに乗ってくれたの?」
媚びる様に俺に向けられる口ぶり。
「もうすぐ卒業だしさ、思い出作りにね。」
「ふぅん…。タクマってさ、クラスの他の人とは違って落ち着いてるよね。」
「そうかな?」
「そうだよ!クールでイケメン☆超人気あるんだからぁ。今日遊べてラッキー♪みんなに自慢しよ〜。」
クールか…まぁ、ユイ以外の女に興味なかっただけだなんだけどなぁ。
「どこ行こうか?」
まだ昼を過ぎた頃。俺は別にユイじゃない女ならどこだっていい。
逆にユイならどこでも楽しかった。