ごめん、キミが好き《短編・完結》
ただのミーハーな女だと思ってたのに、カオリは人をよく見てる。
話も楽しいし、沈んでた気持ちが軽くなる。何よりもふとした時に見せる無邪気な笑顔とか…。
実は純粋な子なのかもしれない。
この子なら…
そんな事を考えてたら、
カオリが映画を見たいなんてはしゃぐから、さっそく映画館に向かった。
映画を見終わると、辺りは暗くなって夕食時だった。
女の子と夕食なんて、ユイ以外初めてで、それでもカオリは十分に楽しませてくれた。
夕食が済んでも、俺はまだユイの居る家には帰りたくなかった。
だからカオリの一言を、迷いながらも受け入れたんだ。
「まだ帰りたくない。」
ちょっと散歩をするつもりで。
ただ、家にはまだ帰りたくなかった。