ごめん、キミが好き《短編・完結》



ただのミーハーな女だと思ってたのに、カオリは人をよく見てる。



話も楽しいし、沈んでた気持ちが軽くなる。何よりもふとした時に見せる無邪気な笑顔とか…。


実は純粋な子なのかもしれない。



この子なら…


そんな事を考えてたら、
カオリが映画を見たいなんてはしゃぐから、さっそく映画館に向かった。



映画を見終わると、辺りは暗くなって夕食時だった。



女の子と夕食なんて、ユイ以外初めてで、それでもカオリは十分に楽しませてくれた。



夕食が済んでも、俺はまだユイの居る家には帰りたくなかった。



だからカオリの一言を、迷いながらも受け入れたんだ。




「まだ帰りたくない。」





ちょっと散歩をするつもりで。


ただ、家にはまだ帰りたくなかった。




< 72 / 115 >

この作品をシェア

pagetop