ごめん、キミが好き《短編・完結》
公園のベンチに二人並んで座ってみた。
「まだ少し寒いな…カオリ、大丈夫?」
俺は自分のジャケットをカオリの肩にかけた。
「………。」
カオリがきょとんとした顔で俺を見るから、俺は慌てた。
「あっ…俺のじゃ嫌?」
「そうじゃなくて!…私の周りにそんな気使ってくれる男の子なんていないもん…やっぱタクマって良い!」
そう言って、カオリが抱きついてきた。
俺は軽くカオリの肩に触れたけど、抱き締めたりはしなかった。
カオリからは、ユイのふんわり甘い香りとは違う、女の子らしい香水の香りがした。
抱きついた体を少し離して、カオリが静かに言った。
「タクマ、好き。私と付き合って?」
そして、そっと…キスをしてきた。
ユイ以外の女の人とは、初めてのキス。
俺はそれに答える事も、拒む事もしなかったんだ。
「タクマ…?」