ごめん、キミが好き《短編・完結》
「タクマは真面目だなー。本気じゃなくてもカオリをキープしとけば良かったのに。ま、取り敢えずタクマの失恋に乾杯☆」
何回目の乾杯だよ…。タケルの両親がやってる居酒屋で追加のお酒を出してもらう。
普段はユイの両親がお祝いごとに出してくれるワイン以外、お酒なんて口にしない。
「…はぁ。10年思い続けて失恋かぁ。てゆうか、キープってなんだよ。俺はそんな事したくないよ。」
タケルはニヤっとしながら空になった自分のグラスと、まだ半分しか減ってない俺のグラスにビールを注いだ。
「出た出た。タクマ君は紳士!学校の女子みーんなして騒いでるぜ?ま、そこがお前の良い所だもんなっ。」
俺は注ぎ足されたビールを飲み干した。そしてすぐに次々と、タケルは二人分のビールを注ぐ。
「もう一度ユイに気持ち伝えて…それから?完全にダメだったら?俺はどうしたらいいのかな…?」
「お前、本当にユイさんに一直線だったもんなぁ。」
タケルだけには、小学生の頃からユイの話をしてたんだ。ちゃらけてる様で、いつもタケルは真剣に話を聞いてくれた。
「今日は飲んでとことんユイさんへの思いを語ってくれ!」
少し赤くなった顔でタケルが肩を叩いてくれた。
少し元気でた気がした。