ごめん、キミが好き《短編・完結》
俺の卒業式のこと。
久しぶりに父さんにも会えて、少しぎこちないもののユイとも顔を合わせる事が出来て、俺は浮かれてたのかもしれない。
浮かれてたのはそれだけじゃないんだけど。
『父さんと一緒に来て欲しい。』
土下座する父さんが小さく見えた。
勝手すぎるだろ?
俺はずっとユイの側にいられると思ってたのに、それが唯一俺に残された幸せだったのに。
「俺は行かない。」
そう言って部屋を出た俺を、ユイが追い掛けてきた。
ユイは知ってたんだ、俺が高校を卒業したら父さんが迎えに来る事を。
だから?だから俺に心までは渡してくれなかったの?
そう思っても、ユイの返事は違ったんだ。
「…私達は離れた方がいいの。」
俺がどんなに願っても、その想いは届かない。