ごめん、キミが好き《短編・完結》
出発が今日の夜なんて、ユイとの最後の時間をゆっくりさせてくれない神様は、本当に意地悪だ。
でももう決めた事。
行くさ。
必要最低限の荷物を小一時間でまとめ、俺たちは空港へ向かう。
ユイ達も夜だっていうのに見送りに来てくれたんだ。
おじさん、おばさんにここまで育ててもらって感謝しきれない思いが溢れそうになる。
本当の家族の愛を教えてくれた人達。
いつも優しく見守ってくれた。
時には厳しく叱ってくれた。
大切な、俺の家族だ。
二人との別れを惜しんでる間、ユイは口を固く結んだままずっと俯いていた。
『タクマ行かないでよ!私の事守るって約束したでしょ?』
…って言葉を飲み込むために口を閉じてるんじゃないか、なんて…心の中で勝手に思うくらいいいよね?
ユイと話をしようとした途端、おばさんの配慮で二人きりになれた。
「ユイ…。」