ごめん、キミが好き《短編・完結》
「最後に抱き締めていい?」
そっと手を広げると、ユイが素直にすっぽりと俺の胸に顔を埋めてきた。
俺はこの瞬間だけ、人生最大の選択ミスをしたんじゃないかと、後悔した。
こんなにも愛しいユイから離れようとしてるんだ。
いいのか…俺…。
久しぶりに感じるユイの甘い香り。
安心感に包まれた。
そうだ。俺の選択は間違ってない。
「頑張ってくる。弱音なんて吐かない。」
自分と、ユイへの誓い。
ユイの頬に触れた時、手が震えた。
父さんに撤回しなきゃ。
ユイ以上の人は、゙もしも゙の世界に現れない。
「ユイ…。…本当に……本当に…好きだった…。」
ユイの10年分の想いがすべてが溢れ出して…
ユイのすべてが愛しくなって…俺は涙を流した。
これが俺の、最初で最後の初恋だ。