極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜
朝日くんは気にするなと言うけれど、やはりそのままというわけにはいかないと強く思ってしまう。

「あの……だったらスーツ以外でもいいから何か」
「だからいいって」

スーツを弁償できないなら、せめて別のものをと提案しても「いらない」の一点張り。

困り果てていると彼は長い脚を組み、豪華な1人用ソファの肘掛けに肘をつき、口に手を当て妖艶な笑みを浮かべて私を見ている。
その仕草がやけに色っぽくて、小学生時代の朝日くんからは想像が出来ないほど色気が溢れていることに戸惑ってしまった。

「それより何年振りだろうね、こうやって美詞と会うの」
「十七年ぶり……かな?」
「そんなに経ったとは思えないな」
「うん、そうだね」

簡単に話題を変えられてしまったが、私は朝日くんを直視できずなんとなく恥ずかしくてはにかんだ笑みで頷いた。

小学生の頃はお互いにふざけては屈託なく笑い合って、一番仲のいい男の子というイメージだっただけに、今の成熟した色気のある男性に変貌していることに気持ちが追いつかない……。

「あの時は美詞が突然引っ越して、すごく辛かったことしか覚えてないな」
「あ……」
「俺にとって美詞は特別だったから、別れの言葉も言えずいなくなって精神的に辛かったよ」
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