極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜
「あの時は美詞の言葉が本当に嬉しかった。優しい子がいるなって思ったけど、今も昔と変わらないな」
「ど、どこが?」
「汚れたスーツを気遣ってくれたり、今日の約束も俺が勝手に決めたのに文句も言わず来てくれた」
「そんなの普通じゃない。それにスーツの件は私が悪いんだし、むしろこんな凄いところに連れてきてくれて申し訳ないよ」

そう言うと朝日くんは、フフと目を細めて笑顔で見つめてくる。

「なに?」
「いや、美詞らしいと思って」

私らしいって何が?
謝るのは当然だし、幼なじみから飲みに誘われたら行くのが普通だと思うけど。

よく分からないといった顔で首を傾げているとウェイターがワゴンを押して入ってきた。

「ありがとう。そこに置いておいて」
「かしこまりました」

ウェイターが出ていくと、入り口に置かれたワゴンに向かって席を立った朝日くん。そのまま料理を取り次々とテーブルに乗せていく。

私も手伝うため立ち上がると「美詞は座ってて」と肩を押され、またソファに沈められてしまった。

カクテルを含め料理がテーブルに揃えられると、朝日くんは座りながらひとつウインクをした。
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