極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜
「保育士として美詞を引き抜きたいんだ」
「っ?!」

持っていたフォークを落としそうになった。

「うん。よし、決まり!」
「えっ!?」

そう言うと今度は立ち上がり軽快にスマホを取り出すと、個室の出入り口まで進みまた誰かに電話をかけだした。

「至急手続きして欲しい案件ができた。今日中に動いてほしい。詳細はすぐ送る。とりあえず保育士数名確保しといて……うん、そう。よろしく」

きびきびと用件だけ伝えるとスマホを操作してポケットにしまい、ソファに座りなおした朝日くん。
私の動揺は気にもせずニコニコとまたカクテルを傾けだした。

「ちょ、ちょっと朝日くん!? 私まだ返事してないんだけど」
「大丈夫、美詞の悪いようにしないから」
「そういうことじゃなくてっ」
「スーツの弁償だと思って受け入れて」
「そ、それは……」
「それだけじゃ足りないかもよ」
「っ!」

小首を傾げて可愛らしく意地悪を言う朝日くん。
そう言われてしまうと何も言えなくなってしまう。実際この食事分以上の金額だったかもしれない。

けれど私も生活がかかっている。勝手に自分の働き口を決められるわけにはいかない。
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