極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜
「そ、そんな重要なこと朝日くんの言葉一つで決められないよ」

身を乗り出して抗議したけれど、座ってるだけなのにやけに絵になるモデル級のイケメンがまだ可愛く首を傾げている。

「どうして?」

どうしてって――。
それはこっちのセリフだ。退職する気もないのに退職願いなんて出せるはずがない。

彼に悪気があるのかないのか。
絶対の自信があるのだと言わんばかりに、意味が分からないといった顔つきをしている。
いくつもの会社を経営する人にとって迷いは厳禁なのか、即断即決で進めてくる。

だけど自分の人生は預けられない。

「無理だよ」
「大丈夫。美詞の不利になるようなことは絶対にないから安心して」

そういうことじゃない。


と思いながら、翌日——。
出勤早々に園長から呼び出された。

「残念だけど、天河さん退職するんだってね」
「えっ!」

心底驚いた。
まだ何も話していないのに、なぜすでに園長が知っているのか……。
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