極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜
『おつかれ。どうしたの?』
「今朝、園長先生に呼ばれて退職のこと聞かされたよ」
『話早くてよかった。あちらも快く了承してくれたから、美詞も心配せず転職できるよ』
「そのことなんだけど、私今の仕事気に入ってるから退職はしない」

私は立ち止まって歩道の植え込みの前に立ち、走っていく車を眺めながら言葉を発した。

「子供たちもまだ見ていたいし、仕事もようやく覚えて楽しくなってきたところなの。だから朝日くんの気持ちは有難いけどお断りする」

ハッキリそう言うと、電話の向こうの彼は黙ってしまった。
でも本当のことだし、どんな仕事をするのか分からない朝日くんの斡旋では続くかどうかも分からない。だから自分で選んだ仕事を頑張りたい、それだけなのだ。

『じゃあ、とりあえず会ってみるだけでも会ってみて』
「誰に?」

会ってみるって、新しい職場の上司に?

『とりあえず今度の土曜でも待ち合わせして連れて行くよ。実際会ってみて無理そうなら断ってくれていいから』
「でもっ」
『そのときにまた連絡する。じゃあ』
「あっ! ちょっ――」

言うだけ言って早々に電話を切られてしまった。
断ってもまったく聞き入れてくれないだけでなく、次の約束まで……。

「どうしよう……」
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