極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜
分不相応
——三週間は思いのほか早く過ぎた。
時差の関係で朝に帰宅した一夜くんのご両親。朝日くんは仕事の都合で不在だった。
お父さんとは初めてお目にかかったけれど、一見した感じではまだまだお若く、朝日くんの父親というだけあってダンディーなイケメンだ。
一夜くんのママはテレビ電話で話したことはあるものの、実際お会いしてみると若くて美人ですごくお似合いの二人だった。
「美詞さん、長い間一夜の面倒を見ていただいてありがとうございました。ほんとに助かりました」
「いえ、お役に立てたかどうか分かりませんけど、一夜くんがとてもいい子に過ごしてくれたのでこちらこそお世話になりっぱなしで、申し訳ないくらいです」
一夜くんのご両親はニコニコと柔らかな笑顔で優しく話しかけてくれ、私は初めてお会いするのに萎縮することなく挨拶ができた。
「またいつでも来てくださいね」と一夜くんのご両親をはじめ、お屋敷でお世話になった方々と別れを惜しみ、朝日くんとはあれから顔も合わせることもなく音羽家をあとにした。
自宅へ帰ってからはただボーっと過ごして時間を持て余していた。
静かな部屋で一人きりでいると、朝日くんの顔が浮かび胸が苦しくなってくる。
何度も連絡はあった。部屋にも訪ねてきたけれど居留守をつかって出ないようにした。
それほど頑なに遠ざけなければ、顔を見た瞬間に崩れてしまいそうだったから。
私は苦しさから逃げるため、田舎に帰る新幹線に飛び乗っていた。