極上御曹司の純愛〜幼なじみに再会したら囲い込まれました〜

――我が家は私が小学五年生の時に、一家で母の田舎に突然引っ越した。
引っ越しをした理由は家業の倒産。

当時、父方の曽祖父の代から続く老舗の家具屋『天河家具店』を営んでいた。

一時期は高級家具店として隆盛を誇っていたものの、時代の流れとともに機能性やデザイン重視の新興勢力の家具屋にお株を奪われ、老舗高級家具を売りにしていた天河家具店は移り変わる客のニーズに応えることが出来ず、経営困難に陥りあえなく父の代で倒産してしまった。

あらゆる手段を使って立て直しに奔走した父だったが、結局借金だけが残ってしまい泣く泣く会社を畳むと、岡山で農業を営んでいた母方の実家へ逃げるように引っ越しをしたのだ。

それまで私が通っていた私立の名門小学校、九十九学園。

当時は裕福な家の子供達が通う学校にも通えていたけれど、倒産した後は夜逃げ同然で転校することになったため、急にいなくなった私を十数年経った今でも覚えてくれていたことに驚きしかない。

それにあの頃は自分でも情けないくらい太っていた……。

色白で目がパッチリのぽっちゃりで、当時実写映画化されていた子豚の『ブーブ』に似ているからと、みんなからブーブと呼ばれていた。
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